夢の続き
僕は思い切り目を閉じて、彼女に向かってそう言い放つ。



アパートの中は僕の息遣い以外は何も音が無く、静まり返っていた。

僕はただ目を閉じて、彼女が返ってくれるのを待っていた。



すると、僕の手渡した服を着る音が聞こえ、目を開けて前を見ると裸ではなくなった彼女が目の前に立っていた。


「あっ、先輩。

私、今ノーパンです。

先輩のパンツ貸してくだ」


「そんなもん、貸せるわけないだろ」


全く懲りている様子などなく、僕は恐怖に怯えながらも精一杯出せる大きい声で言い放つ。

再び静けさが僕たちを包んだが、彼女が右手の小指を口元に当てて笑みをこぼした。


「冗談ですよ」


彼女の笑顔がまともに見ることができず、僕は立ち上がっても玄関とは反対側に体を向けていた。

拳に力が入り、それは怒りではなく、恐怖を紛らわすためだと自分では分かっている。

けれども、それ以外にどうすればいいのか分からず、そのまま立ち尽くすだけだった。
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