夢の続き
「先輩、もう暗いから早く帰らないと危ないぞって、私のこと心配してくれているんですよね。

私ももう二十三歳ですから平気だけど、その先輩の優しさに応えて帰ります」


「いや、俺はそんなこと一言も」


「この服・・・

同じものか、似たようなものの新品を買いますから、先輩が生で着ていたこれは私が貰っちゃいますね。

それじゃ、また・・・」


彼女は袖で顔を擦りながらドアを閉め、この場から去っていった。

僕は全身の力が抜けてしまったように崩れ落ち、キッチンの床に座り込んだ。



その日、僕は夕凪が残していった恐怖に怯え、朝まで一睡もすることができなかった。
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