夢の続き
それからしばらくは夕凪から連絡は毎日のようにあるものの、部屋の前まで来るということはなかった。

それでもあの日から僕は部屋から出るときは覗き穴から外を一度見てから慎重にドアを開けるようになり、部屋に入るときは周りを何度も確認してから入るようになった。



僕のことよりもいちかのことのほうが心配で、夕凪からの連絡は休日を聞くことを欠かさなかった。

それにより夕凪が仕事の日を見て、僕の休日といちかの都合が良い日に会うことで二人が鉢合わせになる最悪の場合を避けていたのだ。



もし、いちかと夕凪が出くわしてしまったときのことを考えると、それはあの日以上の恐怖が僕の頭の中に過り、そうならないために僕は必死になった。



しかし、休日を聞いてばかりいた行動が、夕凪が僕に対する想いを加速させるためには十分な行動になってしまっていることに気付いたのは、桜前線も終わり、新緑の季節となろうとしていた頃である。

実に二ヶ月近くも休日を聞いていたので、夕凪は勘違いを完全に正しいと思いきってしまっていた。



そして、僕と夕凪の休日が初めて被った日の前の晩。



思わぬ形で夕凪の恐ろしさが牙を向くことになった。
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