夢の続き
分からない単語とその意味を、僕は食い入るようにして聞こうとする。

それを察してか、有里香さんが軽く咳払いをし、少し姿勢を正したような気がした。


「私も二ヶ月前に学習したばかりだし、専門的には入っていないから詳しいことは言えないよ」


「それでも、何も知らない僕よりは良いです」


「エロトマニア。

妄想症状の一蹴で、妄想癖を持った精神病よ。

日本語だと『被愛妄想』とか『恋愛妄想』とか言うみたい。

恋愛において、相手に自分が愛されていると激しく思い込み、根拠のない妄想を築き上げていくうちにそれらを自分のなかで確信に変えてしまうの。

そして・・・」


僕たちは姿勢を崩さずに、そのまま有里香さんが淡々と話す姿から目を離さなかった。

いや、シゲさんとは違い、僕は離せなかったのだ。


「相手に自分が愛されているという思い込みを、確信に変えてしまう。

だから、ストーカー行為をしても、お互いが愛し合っていると考えているから犯罪感はないし、自分が精神病なんていう自覚意識もまるで持っていないらしいわ」
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