夢の続き
何も言葉が出てこなかった。



もし、そうだとしたら・・・


「けど、私がこの症状で一番厄介だと思うのは、相手が自分に対して嫌悪感を抱いたり、拒否したりしても、それは逆効果だということ。

自分が本当に愛しているかどうか試されているとか、自分のことを心配してくれていると考えちゃうのよ」


  私のこと心配してくれているんですよね



  先輩の優しさに応えて帰ります


あのときの夕凪の言葉が頭の中に再生される。

更には今までの夕凪の言動や、行動などを思い出していく。



間違いない。



夕凪はエロトマニアを患っている。


「対処方法は?」


そうと分かれば、勉強済みの有里香さんが目の前にいるのだから、もう安心できたも同然だと思った。

しかし、その質問に対しての有里香さんの表情は明らかに曇っており、一瞬にして僕の心の中がまたしてもざわつきを始めた。


「ごめん、症状までしか学習していなかったから・・・」


三人から言葉が出なくなった。



症状が分かっただけでも良しとしなければいけないのだろうが、今の夕凪を思うとそれだけでは良しとは思えないほど、僕は焦っているのだろう。

分からないことに、激しく焦っているのだ。
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