夢の続き
ビールとつまみの買い出しを終えて、スーパーを出ようとしたところで携帯電話が鳴り響く。

着信相手は夕凪だった。


「先輩・・・」


その声はいつもよりもずっと近くに感じ、思わず辺りを見渡してしまった。

それでも店内や付近の道路にはおらず、もう一度電話に口と耳をつけた。


「先輩・・・私のこと探してくれているんですね。

私ならここですよ」


やはり夕凪はどこかにいる。



もう一度探してみるがどこにも見当たらず、直接聞こうとしたとき。



受話器から聞こえる電車の発車音の音。



まさかと思い、駅へと目を向けると、こちらを見つめて立っている夕凪がホームにいた。



僕は電話を切り、ホームの近くまで走った。


「夕凪・・・どうして」


「だって、明日は私たち仕事休みですよ。

先輩と熱い夜を過ごしたくて・・・」


夕凪の表情が一変し、フェンス越しに殺意のような感情がひしひしと伝わってくる。

しかし、それは僕に向けられているのではなく、もっと先のほうへと向けられているようだった。



まさか・・・



振り返ると、僕の後を追い掛けて有里香さんとシゲさんが近くまで来ていた。


「お前・・・か」


フェンスを握る力が強いため、掌から血が滲み出ている。

それでもなお、フェンスを叩き始め、血が腕をつたっていくのが見えた。


「お前が先輩についている悪い虫かあっ」


その言葉は明らかに有里香さんに向けられたものだった。
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