夢の続き
不意に三年前の光景が甦る。

よりよって今日にこの光景が目の前に飛び込んでくるというのは、神様の悪戯にしては度がすぎると思えてくる。


胸の鼓動が速くなるのが分かる。

確か、次は急行が通り過ぎるはずだ。

通り過ぎるまではまだ時間があるにせよ、とにかく僕の胸中は落ち着きを忘れてしまっていた。



ゆっくりと女性に近付き、背中のほぼ真正面へと来た。

女性は僕の存在に気付いておらず、どこか遠くを見ているようだった。


「あの・・・止めましょう」


恐る恐る声を掛けると、女性はこちらを振り向いてきた。

その表情は女性というよりはまだ女の子というような感じで、咄嗟に僕より若いと判断した。


「頼むから・・・もう、死んでほしくないんだよ」


声が震えているのが分かった。

震えながらも出した言葉は紛れもない僕の本心であり、今の僕が出せる精一杯のものだった。



女性はこちらを振り向きゆっくりと立ち上がり、こちらへと近付いてきた。
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