夢の続き
「今振り返ると、あんなことを彼女はよく受け入れてくれたと思うよ。

それに・・・」


三年前の僕がよくもあんな行動を取れたものだと、我ながらに思う。


「あっ」


鞄から携帯電話の着信音が鳴り響き、彼女は取り出した。

画面を見て、こちらに申し訳ないというような素振りを見せて電話に出た。



もう一度、空を見上げる。

今にも吸い込まれそうな青空に、何故僕は今あのときのことを話しているのだろうと考え込みそうになる。

けれども、そんなことなどどうでもいいのだろう。


「ごめんなさい。

私から話を聞きますとか言っておきながら、今から授業に戻らないといけなくなってしまいました。

いつもは出席を取らないのに今日に限って取るみたいなので、本当にすみません」


深々と頭を下げられ、逆にこちらが頭を下げたいような気持ちだった。



私服姿で授業ということは大学生なのだなっと、慌ただしいやりとりのなかで僕はほんの少し冷静に彼女を分析した。
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