夢の続き
「先週久し振りに来たと思ったら、今度は一週間もしないうちに来るから驚いたよ。

何でも出張でのクライアントが、隣の駅だったらしい。

そういえば、先週は謙ちゃんも一緒だったよね」


「なんだよ、お前会ってたのかよ」


「へへへ」


答えを彼の口から聞かずとも、その残念そうな表情を見れば僕の考えは正解だということが分かった。



会話の流れのなかで、おじちゃんは僕たちのいつものメニューを運んできた。

そして、店内では大きい部類に入るジョッキを二つ、中にはもちろん生ビールを入れて威勢よく僕たちの前に置いた。


「シゲさん、控えなくてもいいですから、ちょっとだけ俺の話を聞いてくださいよ」


二人でグラスを軽く当てて乾杯をし、一口飲んだところで釘を刺すように少しだけ強めの口調で切り出した。

いつもなら乾杯でグラスの半分を飲んでしまう彼も、その口調のせいか本当に一口飲んだだけのところでジョッキを置いた。


「実はシゲさんに相談があるんです。

まあ、さっきの会話である程度は察しがついているとは思いますけど、今から相談することは先週会った市川先輩に先に相談したんです」


さっきまでへらへらと笑っていた彼だが、相談という言葉を聞くと仕事のときの真剣な表情に戻った。

相談事は真剣に聞くという姿勢を持つ、そんな彼を僕は尊敬している。

もちろん、それ以外でもだ。
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