夢の続き
次のメニューを運んできたおじちゃんは、僕たちの様子を察してか無言で脇のところに置いて、そのまま次のメニューの準備に取り掛かった。



周りの客が浮かれて騒いでいるなか、僕は先週話したこととなるべく同じになるように目の前にいる彼に話した。

彼も有里香さんと同様に、反対をすることはなかった。


「でも・・・俺はあいつの後かあ」


全てを話し終えたとき、彼は少しだけ悔しがるようにして再びジョッキを口に移した。

僕も少しだけ申し訳なさそうな表情をし、追加のビールをおじちゃんにお願いしておく。

もっとも、あと一時間もすればその一杯で十分に彼は潰れてしまうので、追加は小さめのコップに注いできてもらうことになっている。


「八王子だと泊まりに行くのも一苦労だな」


「泊まるって、シゲさんの部屋のほうが今でも近いじゃないですか。

それなのに終電間際まで飲むから結局は俺が自分の部屋に運んでいるだけで、それを泊まりに行くとは言いません」


「あれ、そうですか」


僕が自慢げに言うと、彼はわざとらしく下手に出て、二人は可笑しく笑い合った。

その二人の真ん中に今度は「お待ちどうさま」と声を掛けて、おじちゃんがメニューを置いていった。
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