君とみた蒼空


蒼くんは、たくさんの話をしてくれた。


「それでさ、チャンスだっ! と思って相手からボールを奪って………」


私は喋る気力もなくて、蒼くんの話を頷きながら聞いているだけだったけど、すごく楽しかった。


バスケの大会の初戦は、無事勝つことができたらしい。



おれ、めっちゃ活躍したんだぜ。


そう言ってふんぞり返る蒼くんに、自然と頬が緩んだ。



「手術が成功したから、夏休み終わるまでには退院できるぞ」



手術が、終わったんだ。


お兄ちゃんのその言葉が、その気持ちを実感させた。



そっか……夏休み終わるまでには、退院できるんだ。



嬉しいな………。


目をキラキラさせながらバスケの話をする蒼くんを、私はずっと見つめていた。



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