君とみた蒼空
「じゃあ、綾ちゃんに借りてくる!」
綾ちゃんとは、高校は違うけど家は近所だ。
小さい頃からよく家に遊びに行って可愛がってもらっていた。
「ちょっと、詩音! 綾ちゃんのところ行くならお菓子くらい持って………」
お母さんの話を最後まで聞かずに、私は家を飛び出した。
10分くらい歩くと、住宅街に着く。
そして私は、『山下』と書かれた大きな家のインターホンを押した。
「はーい………あら、詩音! 久しぶりね!」
「あ、綾ちゃん! あのね、今度の日曜、浴衣貸してもらえない?」
今日もバッチリおしゃれをしている綾ちゃんに、わたしはそう聞いた。