君とみた蒼空
「ね、詩音って呼んでもいい?」
と、歩実ちゃん。
「うん、いいよ」
「じゃあ、私のことも歩実って呼んで」
私が頷くと、歩実はにこっと笑った。
「蒼、早く授業の準備しなよー」
蒼。
なんか私、この響き、好き。
「ね、“蒼”っていい名前だね」
私がそう言うと、蒼くんは首をかしげた。
「そうかー? さんきゅー」
そう言って蒼くんは歩実とそっくりな太陽みたいな笑顔を見せた。
その瞬間、なぜか心臓がドキドキと高鳴る。
なんだろう?
喘息の発作かな。
でも、そのドキドキが喘息の発作ではないことに気がつくまでにそう時間はかからなかった。