君とみた蒼空



「浴衣………可愛い」



蒼くんが頭をくしゃくしゃっとしながら顔を真っ赤にしてそう言うから、



私まで恥ずかしくなってしまった。



「そこのお二人さぁーん。いちゃつくなら、外でやってもらえます?」


千尋が、リビングのドアから覗いて遠慮がちにそう言った。


「詩音、じゃあ行こっか」


そう言って、玄関から出た。



慣れない下駄。



ちょこちょこと子リスのように歩く私に、蒼くんが笑った。



「ちょっと蒼くん! 笑わないでよ!」



下駄が歩きにくいから、しょうがないでしょ!



「蒼くんのばぁか」



笑わないでよ………。



< 207 / 413 >

この作品をシェア

pagetop