君とみた蒼空




私がそう言っても、沙良ちゃんは首を横に振るだけで。


そんな沙良ちゃんに、少しでも、いい思い出を作ってほしかったから。



私は、沙良ちゃんの車イスをひいて外に出た。



「………外に出たの、久しぶり」



沙良ちゃんが、ちょっと嬉しそうにそう言うから、私まで嬉しくなってきた。



「ねぇ、詩音………どこ行くの?」



沙良ちゃんがそう尋ねてきたけど、私は秘密、と言ってごまかした。


きっと、沙良ちゃんも心を落ち着かせられる場所。



………私が大好きな場所。




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