君とみた蒼空


「詩音……なんでもないのに、泣いてるの………?」



心配そうに瞳を揺らす沙良ちゃんを見ていたら、涙が溢れた。


沙良ちゃんが、私の小さな手を握った。



沙良ちゃんの手は温かくて、沙良ちゃんはちゃんと生きてるんだなって思ったら。


この温もりが、数か月後には消えてしまうんだって思ったら。



頬を伝う涙を、止めることなんてできなかった。



「ご………ごめん……ね……」



「謝らなくていいよ。なんで泣いてるのか、教えて」



< 269 / 413 >

この作品をシェア

pagetop