君とみた蒼空
ごみ捨てを済ませ、教室に戻ると隣で蒼くんがいつもと同じように帰る支度をしていた。
「おー、詩音。ごみ捨てお疲れさん」
そう言って、蒼くんは私の頭を撫でた。
いつもなら嬉しいのに、今日はちっとも嬉しくない。
奈津ちゃんに告白されたくせに蒼くんはいつも通りで、そんな蒼くんになぜだか分からないけどイライラした。
奈津ちゃんと付き合うの?
そう訊きたいのに、答えが怖くて訊けない。
病気のせいで、心が不安定になっているのかもしれない。
自分がいつもと違うことはわかっていたけど、自分の心を押さえることはできなくて。
私は、自分の頭を撫でる蒼くんの温かい手を振りほどいてしまった。