君とみた蒼空



「だーるまさんが、こーろんだ!」


隣で大きな声がして、慌てて顔を上げると蒼くんが無邪気に笑っていた。


「詩音! だるまさんがころんだ、しよう!」


今日の空のように、曇りのない笑顔でそう言う蒼くん。


「へ?」


だるまさんがころんだって………高校二年生がする遊びじゃないでしょ………。


だいたい、告白のあとにだるまさんがころんだ、なんて…………。



私は思わず、笑ってしまった。


蒼くんがそんなことを言うなんて、なんだかおかしくて。



「い、いやだよ」



私は、笑いながらそう言った。


人目につかない海辺とはいえ、人が全く来ないというわけではない。


制服を着た、れきっとした高校生が、海辺でだるまさんがころんだをしているなんて絶対おかしな光景になる。



< 84 / 413 >

この作品をシェア

pagetop