君とみた蒼空


私がそう言うと、お母さんはぱっと笑顔になった。



「も、もしかして、詩音の話によく出てくる、蒼くんっていう子?」



お母さんには、なんでもお見通しだ。



「そ、そうだけど……………」



「潤(ジュン)くん! 詩音に、彼氏ができたって!」



潤くん、というのはお父さんのこと。



それより、お父さんまでに報告しなくても…………。



「本当か? うちの詩音は嫁にやらんぞ!」



そんなことを言っている、お父さん。



みんなで仲良く笑っていた、その時だった。




「ママ、パパ!」


リビングのドアを大きく開けて、千尋が慌てた顔で言った。


「お兄ちゃんの赤ちゃんが、生まれそうだって!」


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