星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~拓真 side~


ピンポーン。


いつものようにインターホンを鳴らして待っていると

パタパタと走る音が聞こえ


バンッ!!

と勢いよくドアが開いた。


拓真『…!おはよ。
そんな勢いよく開けて…どうした?』

美姫『お、おはよ!
べ、別になにもないよ?
拓真を待ってたの!』


いつもなら…

「拓真ー!ちょっと待って!」

と言ってなかなか出てこなかったり

「おはよ~。」

と眠たそうに目をこすりながら出てくる…

そんな美姫が

この時間からあんなに元気で…

あんなに勢いよくドアを開けるなんて…

何かあったのか?

と思った。


でも…
それは違った。

美姫が朝からあんなに元気だったのは


インターホンを押したのが紺野だと思ったからだろ?

だからあんなに元気で

あんなに勢いよくドアを開けたんだよな。


顔をみればわかるよ。

一瞬…

ドアを開けたほんの一瞬だけ美姫はがっかりした顔をした…。

紺野だと思ってすごくうれしそうな

キラキラした笑顔でドアを開け

俺の顔をみたほんの一瞬

美姫はがっかりした顔をしたんだ。


それでもうれしかった。


「待ってた」

なんて嘘なのはわかってる。

美姫が待ってたのは俺じゃないことくらいちゃんとわかってる。


それでも

うれしかった。


あんな気持ちのこもっていない
「待ってた」
の一言だけですごく…

すごくうれしくて自然と笑顔に…

ニヤけてしまう。


俺ってほんと単純だな。
< 132 / 142 >

この作品をシェア

pagetop