星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~拓真 side~


教室に入ると

明らかにいつもと違う空気―

そこには


美姫と紺野の事を書いたであろう落書きが黒板一面に書かれていた。


なんだよこれ…。

美姫はまだ気づいてない。

だけど…

こんなのみたら…。

と美姫にみせない方法を考えていると

柊達が来た。

よし。

俺達で美姫の興味をそらしてその隙に黒板の落書きを消す―。

これなら美姫にみせないようにできる。

そう思っていた時―


詩織『だーかーらぁ〜やばいんだって!あれみてないの!?黒板!』


詩織…お前…

何言ってんだよ。

せっかくうまくいきそうだったのに…。


あ〜…美姫黒板みようとしてるし。

はぁ…

こうなったら…


拓真『みなくていいよ。』


ととっさに目隠しをしていた。


美姫『ちょっ…!拓真!?』

拓真『柊…お前らこれ消して。
…笑えないから。』


目隠しを取るように訴える美姫を無視し
落書きを消すように頼んだ。

つーか…

まじでなんなんだよ。

ほんと

くだらない。

こんなバカみたいな事最近の中学生でもしないだろ。


そんなことを呟いている間も美姫は目隠しを外すように頼んでくる。

今すぐにでも外してやりたいけど…

ごめん。

あともう少しだけ我慢して。

何回か適当な返事をしていると


美姫『…おなかいたい。』


と急に美姫がおなかを抑え小声でそう呟いた。


拓真『え!?大丈夫!!?』


いつも調子が悪くても言わない美姫がそんな事言ってきたから

心配する気持ちと

動揺する気持ちが混ざって

思わず手を…

目隠しを外してしまった。


すると美姫はその隙をついて

まだ完全に消しきれていない黒板を

みてしまった。


すると美姫は何か言うわけでもなく

ただボーッと立ちすくんでいた。

そんな美姫に容赦なく女子達の陰口が浴びせられた。

すると


美姫『ハァ…ハァ……ハァ…』


微かに息が荒くなっているのが聞こえた。

美姫は喘息も持ってる。

昔から泣いた後や精神が不安定な時に発作が出て…

最近はほとんどでなかったんだけど…

やばいな。

まだ軽いうちに抑えないと…。


この状況と美姫の体調。

両方ともどうにかしないと…。

そう思った俺の口から出た言葉が


拓真『美姫が付き合ってるのは俺だよ。』


その一言だった。
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