ミステリアス
相手は大学の先輩。
なんとなく付き合って、三年くらいでなんとなく自然消滅。
自称、なんとなく約三年の恋。
恋愛って伏線がありすぎて、どう繋がっていくのか、どこに向かって進んでいるのか、結末へ導かれる事なく迷宮入りしてしまいました。
27歳にして恋愛経験はその一度きり。
この恋愛経験非現実的な私が恋愛小説の依頼をされるとは。
しかも、壁ドン……。
私は思い切って、その恋愛小説の連載を引き受ける事にしました。
ミステリーのトリックで縛り続けてきた自分の内面にあるなにかを変えるために。
そして、思い切りついでに桝田耕助にメールを送信。
《お久しぶりです。明智こころです。ちょっとお願いしたい事があるのですが、今週の金曜日に会っていただけませんでしょうか》
もしかしたら、メールアドレスが変わっていて、行く宛のないメールが舞い戻ってくるのでは、と不安でしたが、無事に着地したようで、その日のうちに返事がきました。
《場所と時間は?》
《金曜日の夜八時に新宿にあるBARシャーロックでいかがでしょうか》
《OK》
私はお洒落で神秘的なBARシャーロックを待ち合わせ場所に指定しました。
デキる女を装いたくて。
以前、女性の編集者さんが連れていってくれたお店です。