ミステリアス


耕助とは幼なじみで幼稚園から高校までずっと一緒でした。

幼稚園の頃はお風呂も一緒に入っていたし、中学に入学するまで耕助の前で普通に着替えもしていました。

一人っ子の私にとって兄のような弟のような存在でした。

高校を卒業後、お互い別の道を選び、違う大学へ。

それでも週一でご飯を食べに行ったり、映画を観たりしていたのですが、私が先輩と付き合い始めた頃から連絡が途切れがちに……。

時が過ぎれば過ぎるほど、ぽっかりと浮かび上がってしまった、近くて遠い距離をどう縮めたらいいのかわからなくなって。


メールをしたのも会うのも六年ぶり。

もうあの頃のように無邪気な素顔のままでは会えないだろうと、きちんとメイクをして、苦手なマスカラもたっぷり塗りました。

服装は黒のタイトスカートにグレーのタートルネック。キャメルのコート。足元は黒のピンヒールロングブーツ。


新宿駅に着いてホームの階段を上がっている時、このブーツを履いてきた事をちょっと後悔しました。

いつもペタンコ靴ばかり履いていたので、足首と爪先、足の裏が痛くて。




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