ミステリアス


遠くに霞んで見えているのはクリスマスのイルミネーション。


「はぁ……」


白く濁って消えた溜め息。イルミネーションを見ても『きれい』という言葉が出てきません。

12月の風は独り身には冷たすぎるのです。

その風をこちらから遮るように足を進めようとしたけど、酔っていて真っ直ぐ歩けなくて……。


仕方なく、壁に寄りかかりました。

その壁が背中を冷やした瞬間、耕助の顔が目の前に現れたのです。


「耕助」


耕助の大きな右手が、ドンっと壁をつきました。


『!!』


なに、この感覚……。

抱かれているわけではないのに、毛布にくるまれているみたいに温かくて。守られてる感じがして。

今ここは耕助が作り出してくれた二人だけの秘密の空間。

推理力旺盛な三毛猫も引き返す。


「なあ、お願いってなに?」


「えっ」


私は答えを飲み込みました。





< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop