ミステリアス
遠くに霞んで見えているのはクリスマスのイルミネーション。
「はぁ……」
白く濁って消えた溜め息。イルミネーションを見ても『きれい』という言葉が出てきません。
12月の風は独り身には冷たすぎるのです。
その風をこちらから遮るように足を進めようとしたけど、酔っていて真っ直ぐ歩けなくて……。
仕方なく、壁に寄りかかりました。
その壁が背中を冷やした瞬間、耕助の顔が目の前に現れたのです。
「耕助」
耕助の大きな右手が、ドンっと壁をつきました。
『!!』
なに、この感覚……。
抱かれているわけではないのに、毛布にくるまれているみたいに温かくて。守られてる感じがして。
今ここは耕助が作り出してくれた二人だけの秘密の空間。
推理力旺盛な三毛猫も引き返す。
「なあ、お願いってなに?」
「えっ」
私は答えを飲み込みました。