ミステリアス
だってそのお願いは壁ドンだったから。
耕助に壁ドンをお願いするつもりだったのです。
「だから、なに、お願いって?」
「私、耕助が好きなの。付き合ってください!!」
もう、耕助と離れたくない。その気持ちが桃の果汁となり滴り落ちたのです。
答えを求めるように耕助の顔を見上げると、耕助の左手が私の顎に添えられました。
「いいよ、ミステリー作家さん。俺もこころの事が……ずっと前から好きだったんだ。俺が一生幸せにしてやる」
耕助の唇が私の唇に触れました。
二人の呼吸が荒くなっていって。
……壁ドンをしながらの濃厚なキス。
恋愛経験非現実的な私が人生の中でこんなシチュエーションに恵まれるなんて。
恋愛は小説よりミステリアス。
壁ドンは二人だけの時空を超えた密室。唇を奪われてしまったら、もうどんな名探偵だって侵入できない。
【ミステリアス*END*】