多重人格者【完結】
放課後、案の定草野君が私の教室を訪れた。
「あやめー、いるー?」
それに私より先に反応したのは葉月。
私の肩を思い切り揺さぶっている。
「あやめ、草野君!」
「え、あ、うん」
葉月に催促されて、私は渋々草野君の元へと向かう。
クラスメイトには注目されてるし。
どうしても、笑顔が引きつる。
「あやめ、帰ろ?」
「…今日、葉月と約束があるから」
「ふ~ん?」
草野君は目線すら合わせようとしない私を見て、何かを察したのか、急に顔を上げて声を上げる。
「葉月ちゃん!」
「え」
呼んだのは私の親友、葉月の名前。
吃驚して、草野君の顔をまじまじと見つめる。
そんな私に気付いた草野君は、ニヤっと笑った。