多重人格者【完結】
「はいっ!」
葉月も、急に自分の名前が呼ばれるとは思わなかったのか、背筋を伸ばしながら返事をしていた。
「今日、予定あるって聞いたんだけど…あやめ連れてってもいい?」
「っ!!」
草野君を見てから、私は葉月の方を向く。
何度もテレパシーを送るけど、葉月は
「全然、オッケー」
って、あっさり許可を出してしまった。
それに、肩をがっくしと落とす私。
きっと、草野君は最初からこの予定だったんだ。
…毎日こうなるって事はないだろうけど。
今日は強制的に一緒にいるつもりだったんだ。
私と草野君って二人を、他の人に印象付ける為に。
例えここで葉月に断られたとしても、目立ってたし。
草野君の思惑通りに進んだと思う。
…地味な私と、人気のある草野君。
噂話になってもおかしくないよね。