多重人格者【完結】
「そっか、ごめん。無理に聞こうとして。
…でも、もしその理由がわかったら…少しはカンナの考えてる事わかるかもしれない」
「………」
例え、そうだとしても。
≪誰が話すかって言ってやれよ≫
急に頭に響く声にぎくっとする。
≪くく、聞こえてるよ?あんたの声≫
その声はそれはそれは可笑しそうに笑っている。
≪草野、うまく味方につけたなあ、なあ?
まあ、そうとしたとこで…関係ないけどな≫
「…カンナ」
「え?」
突然発した私の言葉に、草野君は目を丸くした。
草野君にカンナの声は聞こえていないんだから、当たり前だ。