多重人格者【完結】
≪夜が、怖いね。あやめちゃん?…クク、ククク。あはははっ≫
カンナの高笑いが頭に響く。
やめて。
やめて。
すーっと私の瞳から、一滴の涙が伝う。
「おい、あやめっ?」
カンナは私を苦しめて、喜んでる。
ダメだって。
負けちゃダメだって。
何度も思うのに。
私が、悪かったの?
私が、…私が?
「あやめっ!!!どうしたんだよ!!」
「っ!」
がしっと肩を掴んで、無理矢理自分の方に向かせると草野君が大声で叫ぶ。
それにハッとして私は我に返る。
目の前には眉根を寄せて、心配そうな瞳で見つめる草野君がいた。