多重人格者【完結】
「…私は…カンナ達に、酷い事を…したの」
「それはここまで苦しめる程なのかよ!?」
「………わからない、きっと草野君には」
草野君にはわからない。
信頼してた人が、悪魔に変わってしまう瞬間を。
草野君もそうだったのだから。
「…………」
草野君は悔しそうに、唇を噛み締める。
好きだと思うけど。
だけど。
やっぱりまだ信用は出来ないんだ。
これから少しずつ信用出来たらいいなって思ってた。
でも、それは無理かもしれない。
だから。
もう、私の事は放っておいて。
「…私、帰るから」
立ち上がって、私は一度草野君を見ると前へと足を踏み出す。
公園を出るまで草野君の方は振り向かなかった。