多重人格者【完結】
「今日の一緒にいた男は誰?彼氏?」
「…しらな…」
「嘘をつくの?」
「いや」
怖い。お義父さんが怖い。
嫌だ、気持ち悪い。
助けて。
嫌だ。やめて。
嫌。
「いやーーーーーーっっ!!!!!」
私の声にお義父さんは驚いた様だった。
その隙にどんっとその体を押しのけて、私は外へと向かう。
足がもつれそうだ。
追いかけて来るかもしれない。
とにかく、無我夢中で走っていた。
玄関を飛び出し、とにかく遠くまで走る。
角に差し掛かった時だ。
「うおっ」
出会い頭に誰かにぶつかりそうになった。
「っ、すみませ…」
そう言いながら、また走ろうとした私の腕をその人が掴む。