多重人格者【完結】
「心も一緒に泊まる事」
「……はあ!?」
「これは私のお節介ね」
「……俺がいると気にするかなって思って姉ちゃんに頼んでるのに意味ねえじゃん!」
「何で?一緒だとあやめちゃんに何かするわけ?」
「……」
そう問い詰められて、心君は明後日の方向を見つめて押し黙る。
ニヤっとする奈乃香さん。
「それに、何から逃げてるのかわかんないけど…、それから心が守るんでしょ?」
奈乃香さんの言葉に、心君の顔付きが変わった。
それから、ゆっくりしっかりと頷く。
「…俺が守る」
「なら決まり。
親御さんには?連絡は?そこらも大丈夫なの?」
「ああ、平気。そこはちゃんとしてる」
「そ、なら荷物とかあるなら持っておいで」
「…あやめには、姉ちゃんの洋服貸してあげてくんない?」
「うん、いいよ」
奈乃香さんが了承すると、心君はホッとした様子を見せた。
私の方を見ると、にっこりと微笑んだ。