多重人格者【完結】
≪あんたは何もしてないの?≫



その声は私の全身を包む。



≪……ああ、そうか。あんたは“何もしていない”から罪なんだよね?≫



「……やめ、て」

「ああ!?」


私の言葉で、胸倉を掴む女の人の顔が歪む。


ああ、違う。
目の前の女の人に言ったんじゃない。

違う、貴方じゃない。



≪ほら。何て思うの?こういう時は≫



やめて。




≪助けて、カンナ。でしょ?≫




やめてやめてやめてやめて!!!!!

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