多重人格者【完結】
レール
――――…ここは酷く暗い。



やはり、目を開いてもここには闇ばかり。

どれだけの時間が経ったのだろう。



何も聞こえない。
何も見えない。
何もわからない。



≪呑気だなあ?≫


そう、突然声が響く。
それに私は肩をびくっと揺らしながら声がした方を向く。



そこに立ってたのは、思いっきりしかめっ面をしたカンナだった。
いや、カンナの姿を見た事はなかった。

だけど、どうしてだろう。

すぐにカンナとわかる。


見た目は私なのに、だ。



≪ああ、くっそ、イライラする。お前にも草野にも≫

「……心君に何かしたの?」

≪あん?≫


カンナはイライラした様子で、眉根を顰め私を見る。
一度舌打ちをすると、口を噤んだ。

話す気はないと言う風に。


私はバツ悪く視線を伏せると、ある事に気が付いた。
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