多重人格者【完結】
「ありがと、平気だよ。あ、今って何時間目?
俺携帯カバンに置きっぱなしでさ」

「今、昼休憩中」

「あ、そうなんだ。よかった。…てか、あやめは?」

「……」


そう尋ねると、葉月ちゃんの顔が強張った。
何で、そんな顔をするんだろうか。

不思議に思っていると、葉月ちゃんはぽつりぽつりと話し出した。



「変わらないの」

「は」


え、と。
変わらないって。

普段と?
それって、別におかしな事でも何でもないじゃん?


「いつもと同じ。
なんだけど、何かが違うの」

「……」


これは俺以外が聞いたら、きっと葉月ちゃんをおかしいと思うだろう。
だけど、その理由が俺はわかる。


まあ、違うだろうな。
今出てるのは殺樹だろうから。

少しでも疑念を抱いて接してたら、普段との違いに気付くだろう。


それに葉月ちゃんほどの仲良しだと。


だけど、素直に教えてやらないし、悪いけど誤魔化させてもらうよ。
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