多重人格者【完結】
きっかけ
「あやめーー!」
「え!?うわ!」
突然後ろからダイブされて、体がよろめく。
どうにか持ちこたえながら私は後ろを振り向いた。
まあ、誰かは大方予想が出来ている。
ああ、やっぱり。
「葉月!!いきなりはやめてよねえ!」
少し頬をふくれさせながら言うが、葉月は反省してるのかしてないのか、笑顔を崩さずに
「はいは~い」
なんて言って、相変わらず調子がいい。
だけど、毎度許してしまうのは葉月が大好きだからだ。
「…もう!」
「だってさ…」
ぴっと、私の目の前に差し出されたそれ。
「こ、これは…」
私の憧れで、大好きな…
「草野君の写真~!!」
目をキラキラさせながらその写真を食い入るように見つめる。