多重人格者【完結】
「ゲーセン、もうちょいだからね」

「…うん」

こくっと頷きながら、私は俯いた。
お願い、って何だろう。

怖いけど、聞きたい。


~♪


軽快な、今流行りのJ-POPが流れる。
それは心君の携帯から鳴り響いていた。
心君は制服のポケットから出して、一度携帯を確認するとそれをまた戻す。



心君を見上げると、視線に気付いたのか

「メールだった」

そうやって笑った。


何故か、その顔を怖いと思ってしまった。
本当に、何故か。

目の前にいる彼は、私の大好きな心君で。

変わらないはずなのに。


「さ、着いた」

普段、私が寄り付かない場所。
そこに足を踏み入れるだけでも緊張する。

そんな私を見越してか、心君は私の手を引くと中へと進んでいく。

ゲーセンの中は、UFOキャッチャーや、プリクラで溢れている。
ジャカジャカと音が耳に刺さる。
うるさくて、思わず顔をしかめてしまう。
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