多重人格者【完結】
何だろうか。胸騒ぎがすると、言うのだろうか。
よくわからない感情を抱いたまま、俺達はあやめの家へと向かう。


酷い事をされた筈なのに、ケロっとしているあやめは。

やっぱり、殺樹なんだろうと思う。


カンナでなく。



「もうすぐだね。嘘つくから緊張しちゃうよ」

「ごめんね、葉月」

「何言ってんの!あやめはっ」

「俺はちょっと後ろから見てるよ?」

「え?」


そう切り出すと、あやめは目をぱちぱちとさせる。


「だって、流石に行けないでしょ」

「そうだね」

「まあ、何かあったら行くから」

「わかったー、草野君はそこにいてねー」


葉月ちゃんが物わかりよくて、本当に助かるよ。


あやめは葉月ちゃんと共に、玄関へと向かった。
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