多重人格者【完結】
不気味な笑み
葉月ちゃんを見送り、姉ちゃんの家の方角へと進む。
何も喋らないあやめ。
うんともすんとも言わないだけじゃない。
ぴくりとも表情を変えない。
「あやめ?」
「……」
至って無表情。
だから、俺は静かな口調で隣にいるあやめへと尋ねる。
「……それとも、殺樹?」
「……」
あやめの眉がぴくっとした。
それから、ゆっくりと俺に視線を移すとニヤリと笑った。
「何かな?草野君」
「……やっぱり殺樹なのか?」
「そうだと言ったらどうする?」
「あやめは……無事なのか?」
「それを答える義理も教える義務もないけど」
淡々と話すその言い方。
何て言えばいいんだろうか。
その口調には一切の温度がない。
冷たい、そう表すべきか。
顔には薄らと笑みを浮かべているというのに。
何も喋らないあやめ。
うんともすんとも言わないだけじゃない。
ぴくりとも表情を変えない。
「あやめ?」
「……」
至って無表情。
だから、俺は静かな口調で隣にいるあやめへと尋ねる。
「……それとも、殺樹?」
「……」
あやめの眉がぴくっとした。
それから、ゆっくりと俺に視線を移すとニヤリと笑った。
「何かな?草野君」
「……やっぱり殺樹なのか?」
「そうだと言ったらどうする?」
「あやめは……無事なのか?」
「それを答える義理も教える義務もないけど」
淡々と話すその言い方。
何て言えばいいんだろうか。
その口調には一切の温度がない。
冷たい、そう表すべきか。
顔には薄らと笑みを浮かべているというのに。