多重人格者【完結】
「あやめはね?繊細なんだ」
「……」
何の、話だ?
「だからね、君みたいな醜い人と出来たら一緒にいて欲しくない。
例え君が阻止しようとも、明日には俺は帰るよ?」
「…帰らせない」
「どうやって?でもね、簡単なんだよ。家に帰る事なんて。
君が俺を連れ出すよりも、ずっとね」
「あやめが大事なんだろ?」
「ああ、大事だよ」
「…じゃあ、何であいつがいる家に帰るって言うんだ?」
あやめをこんな風にした元凶。
そいつがいる家にわざわざ帰るって、殺樹は言うんだ。
どうしてだ?
あやめが大事なら離そうとするんじゃないのか?
「何でわからない?」
「……は?」
殺樹はやっぱり微笑を浮かべたまま。
俺だけが訝しげな顔になる。