多重人格者【完結】
キョロキョロ辺りを見渡しながら、私はゆっくりと心君に付いて行く。

奥へと足を進めて行くと、心君はどこかの扉を開けた。

そこには関係者入口とある。


え?ここって?


私が思ったのも束の間。

「なあ、あやめ。お願いなんだけどさ」


心君は扉を開けて、私の方を向くとニヤっと笑う。


「こいつらの相手、いい?」


完全に扉が開いた先には。


ガラの悪い男の人が数名。
直感で、ヤバいと感じる。


だけど、逃げることなんて出来ない。
私の手はまだ、心君に引かれたまま。

強引に中に引っ張られて、私は無理矢理押し倒された。


「んーーーー!!!」


口を塞がれて、言葉を出せない。
息を荒げる男の後ろで、心君は私を見下ろすと嘲笑うようにくくっと喉を鳴らした。


「ゲーセンだから、どんだけ声出しても聞こえないから」


それから下卑た笑いを見せると

「思う存分、声を上げてね?」

心君は手に持っているビデオカメラを私へと向けた。
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