多重人格者【完結】
喉がカラカラだ。
あのクソ姉貴め。
驚かせやがって。
飲み物、買わせてもらおっと。
駄賃だろ、つか、もっともらってもおかしくねえ。
……安心した。あいつが本当に何かしてしまったのかと思った。
ビビってどうするんだって思うけど。
だけど、殺樹は。あいつだけは。
恐ろしくて仕方ない。
情けないわ、男のくせに。
俺は、あやめを守るんだろ?
だったら、あいつにだって負けちゃいけないんだ。
ぐっと手を握り締めると、俺は前を向く。
そうだ、守るんだ。
あやめを。