多重人格者【完結】
≪今回はちげえよ≫
……、じゃあ、誰が。
≪って、そんなん考えたらわかるだろ?≫
―――――――――殺樹が?
≪あいつ、絶対どSだわ。椅子を振り上げて痛めつけてるとこをアタシらにも見せんだよ。
アンなんか泣いてうっせえし、ユウナも昴も顔歪めてるし≫
「あ、いては?誰を」
≪昨日、お前にイチャモンつけて来たヤツだよ。
……草野が止めなかったら、死んでたかもな≫
「え?」
し、ん、でた?
≪ああ、死んでたな≫
カタカタと体が震えだす。
もう、それはとてもじゃないけど、私の想像の範疇を超えてて。
この手で、誰かを殺してしまおうとするだなんて。
≪あ、勘違いするなよ。アタシは殺樹の思い通りに物事が進んでる気がして、ムカついただけだ。
だから教えてやった。あいつ、教える気なかったみたいだしな。
ま、あいつにとっちゃ知られてもどうでもいいんだと思うけど≫