多重人格者【完結】
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ゆっくりと目を開ける。
見えたのは見慣れた自分の部屋。
だけど、飛び込んで来たのは。
真っ赤。
真っ赤に染まる手の平。
そして、倒れ込んで虫の息の心君。
「し、んく、ん」
途切れ途切れに、言葉を紡ぐ。
瞬きする事なく、その人物を見つめる。
心君の体からじわっと広がる赤い血液。
それが、血だってわかるのには時間が必要で。
「はあ、あ、やめ?」
肩で息をしながら、心君はずっとこっちに顔を向けた。
目の焦点が合わない。
意識が朦朧としてる中で、ゆっくりと私へと手を伸ばす。