多重人格者【完結】
≪あやめが草野君を刺したんだよ?≫
……私じゃない。
何も覚えてない。
≪カンナ?……果たして、カンナなんて人物はいたのかな?≫
え?
殺樹は、何を言ってるの?
だって、確かにカンナはいた。
寧ろ、カンナで私は自分の中に人格がいるんだって事を知った。
≪カンナなんて存在しないよ、どこにも≫
嘘だよ、カンナはいる。
ねえ、カンナ?
カンナ!?
だけど、聞こえて来るのは殺樹の微かに笑う声だけ。
……カンナが、消えた?
≪消えた?いや、いなかったんだよ。きっと≫
尚も、殺樹はクスクスと笑う。