多重人格者【完結】
わからなくて。
苦しくなって。
私が彼女達を産んだ?
そして、苦しめた?
どういう事なの?
誰か、説明して。
お義父さんが、私を抱いただなんて…嘘でしょ?
この、記憶は嘘でしょ?
鮮明に。
だけども、途切れ途切れに。
そのことを思い出す。
それが事実だと、全て証明しているのに。
「…う、っ、うう」
独りになった私は、嗚咽を漏らすとまた静かに泣き始めた。
もう、消えたい。
消えてしまいたい。
逃げることしか、今の私には考えられなかった。
それしか、考えられなかったんだ。
だって、逃げた結果が彼女達なのだから。
でも、まだ五歳だったんだ。
たった…五歳だったんだ…。