多重人格者【完結】
対面
――――…ここは酷く暗い。
≪……う、…≫
カンナは小さく呻き声を漏らすと、目を薄らと開けた。
(どこだ、ここは)
ゆっくり体を起こしながら心の中でそう思うと、背後に人の気配を感じて振り向く。
そこに立っていたのは。
≪初めまして、カンナ≫
≪……お前≫
すらっとした身なり。
髪の毛も肌の色も、目の色さえ薄かった彼。
カンナは彼を初めて見た。
殺樹はニヤリと、笑ってから
≪さっきはごめんね?≫
そう発した。
先程、草野心の前でした出来事を指してるみたいだった。
≪…そうだ、思い出した。てめえは何なんだ?≫
≪何なんだって失礼だな。俺は君達と同じだよ≫
≪…同じ?≫
≪ああ≫
クククっと、不気味に笑うと殺樹はカンナを見下ろした。
≪カンナ達と同じ様に、俺はあやめによって作られた人格だ≫
カンナはそれに目をパチパチとさせた。
アタシ、昴、アン、ユウナ。
それ以外に人格が?
初耳だった。