多重人格者【完結】
≪俺は―――…君達と然程変わらないよ≫
(んなわけあるか)
カンナは直ぐにそう思ったが、そんな感情すら見透かされているかの様に、殺樹はニッコリと笑みを向ける。
(本当に掴めない男だ)
また、爪を噛むとカンナはパチンと鳴らす。
≪じゃあ、逆に聞く。
カンナはいつ、生まれた?≫
≪は?≫
眉間に皺を寄せながら、カンナは動きを止めて殺樹を見た。
殺樹はさっきと変らぬ笑みで、カンナを見据える。
≪いつ、生まれた?≫
≪………いつって≫
いつだったか。
考え込むように、腕を組むカンナ。