見た目イケメン、中身キモメン
「……」
スマフォをのぞき込まれた。
「あ、換金場所調べる前に、みんなにも当選したことを報告しーー」
「……!」
スマフォを取られた。
切羽詰まった彼。私のスマフォを持ったまま、硬直している。
「えっと、どうしたんですか?」
「……!」
私が呟いた画面を指差す彼。
「あ、大丈夫ですよ。私の呟き、友人にしか見えないように設定していますから」
大丈夫です、と言った矢先に着信。
友人の一人、上田くんからだった。
『もしもし、橋本か!ツイッター見たんだけど、マジ!?実は俺、パチンコで負けてピンチなんだけど、五万ぐらいどうにか!』
倉石さんが通話を強制終了させる。
終了させるなり、次の電話。
友人の香住ちゃんからだった。
『もしもし、園木(そのぎ)ちゃん!ツイッター見たんだけど、本当に!?実は私の彼氏が、車ぶつけて相手に慰謝料を!』
またもや、強制終了。
それでもかかってくる電話。
倉石さんがスマフォの電源を落とした。
「あ、あの……」
「……」
がっくりと肩を落とす彼。俯いて、その顔色を伺うことは出来ないけど、呆れているのは分かった。
私の安易な行動で、迷惑をかけてしまった。
大学の友人は、みんな優しいと思っていたのに。
「わた、私……馬鹿なことを」
泣く手前、彼が手を引いてくれた。
立って、行こうと、引かれる力から教えられる。
宝くじが当たっても変わらずにいてくれる彼は、いつも私のことを考えてくれる。
私にはもったいないほどの優しい人だった。