見た目イケメン、中身キモメン
三章
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まさか、こんな形で倉石さんの部屋に招かれるとは思わなかった。
メールで、住んでいるのはアパートの一室とは知っていた。散らかっているからと、今まで上げさせてもらったことなかったのに。
三億円当選したことをツイッターで呟いたから、友人一同に狙われる。匿うという形で行くのだけど、ドキドキと嬉しさを持つ自分が恨めしい。
不謹慎だ。倉石さんは、私を守りたいが一心なのに。今まで入ったことがない彼の部屋という種が、ワクワクの花を咲かせてしまっている。
倉石さんのことだから、きっと、モノトーンの部屋なんだろう。落ち着いた大人の部屋。寝室には倉石さんサイズでもはみ出ない大きなベッドとかあったりして、私も添い寝出来たりーーワクワクの花が大輪すぎるよ!
頬を押さえて、一人で悶々とする。他人に見られたら、痛い人決定だけど、今は周りに誰もいない。
大型スーパーの地下駐車場。彼の車の中で、私は待機していた。
彼の部屋に行く前の買い物らしい。
何を買うのか聞けば、何かを飲んだり食べたりのジェスチャーをしていた。
私も付き合おうとすれば却下。ロックをかけておくように、の指示に従っている。
車は頑丈。鍵をかければ、誰かれに侵入は出来ない。
三億円を狙われる私を常に安全な場所に置いてくれる彼に感謝する。
ぽつんと、一人でいるときは、怖くて身を縮ませていたけれど、十分ほどで慣れた。
誰も私がここにいることは知れない。
警戒する必要なんかないなぁと、背筋を伸ばした。